初出:山陰中央新報いわみ談話室

 この秋、今井美術館で「あったか家族展」が開催された。二年連続の展覧会は私の人生で初めてだった。今年の展覧会は、山陰中央新報の「こちら虹」の欄で「あったか家族」というタイトルで掲載された「ことのは大賞入選作&イラスト」の原画一一三点の展示が中心となった。山陰中央新報社企画・主催、今井美術館共催での開催だ。

 私は緊張癖があるので準備期間中は体調が崩れた。ところが緊張が何日も続くと麻痺するのか、オープニング当日はもはや絶好調。前日の雨が嘘のように晴れ上がったのと同じように私の心も清々しく晴れていた。

オープニングは桜江町の三つの保育園の園児による「どじょうすくい」の踊りと歌で始まった。めちゃくちゃ可愛い園児たちに応援してもらって展覧会はそのまま楽しく展開していった。ずいぶん遠くから足を運んでくださったお客様も多かったので本当に嬉しかった。

ご年配の方も若い人も泣きながら見ておられる。そんな光景…私は全く予想していなかった。それぞれの人生を文と絵の中に見ておられたのだと思う。
ある日、松江からのツアー客の中に、思わず「おばあちゃん」と親しく呼びかけたくなるような可愛らしいご婦人がいらした。「娘に連れてきてもらったんだけどね、佐々木さんの絵をやっと見られたし、おまけに佐々木さんと会えて、もう思い残すことは無い、いつお迎えが来てもいいわ」とおっしゃった。思いがけない言葉だったから涙が出た。会期中は毎日美術館に行こうと決めた。

一階にはいつものように今井館長さんと月森さんが。私は安心しきってずっと二階にいた。そこへ、あるご家族が来られてペコリと私に会釈をされた。宣伝ポスターに「怒っても太っても いちばん好きだよ お母さん」のイラストを載せたけれど、その言葉の作者のご家族だった。「あれ?全然太っていらっしゃらないじゃないですか」と言うと「ええ、子どもにそう書かれてから、五キロ痩せたんです」とお母さん。「お父さんが早起きして作ってくれたお弁当 すきまあいてるけど気持ちがいっぱいつまってた」の作者とも展覧会のお陰で会えたのだった。初対面だというのに、作品のお陰で話が弾んだ。

展覧会が終わってだいぶん日が過ぎたけれど、まだ心がふわふわとしている。企画をしてくださった山陰中央新報社の中村さんがおっしゃったこと。「佐々木さん、みんなが(展覧会を担当してくださった皆さん)毎日楽しいって言うんですよ。これは、上司冥利に尽きます」。泣きそうになった言葉だった。

「ありがとう」と言いたい人がいっぱい…。友だちにも知人にも。
「来年はのんびり暮らさん?」と母。とは言うけど、会期中は細胞がシャキッとしていたのか、結構ハツラツとしてなかったっけ?とにかく、ホントにありがとね。

2011.12.1