以前、大正時代のラジオの形をしたオーディオを持っていた。小ぶりではあっても深みのあるその音がすごく好きで、宝物のように大事にしていた。それが壊れて以来、今のは何だか嫌だなあ、嫌だなあと思いながら我慢して聴いていた。「あんた、そんなに気に入らないなら壊れてやるぜ!」多分そう思ったのだ。まだそんなに古いオーディオではないのに壊れてしまった!普通は、思いがけない出費があるとガクッと来るもんだけど、今回は、ニタニタで。

ウキウキしながら、インターネットなどで理想のものを探しはじめた。
その理想とは、多機能不要。木製のスピーカー。音にこだわった製品。検索していくとえらく早く見つかった。
Victorの製品WOOD CONEで、「音声にこだわりました。スピーカーに天然木を使用」との宣伝文句。わ、あったあった!と思って早速デオデオに行った。録音機能さえ無く、技術者の人たちが、ひたすら音声だけにこだわった製品ということだ。嬉しいじゃないですか。だって、今どき、多機能を棄て、そこにお金をかけるくらいだったら、いい音へのこだわりに費用を使う方がいいというVictorの老舗魂が!!そういえば、そのラジオの形をしたオーディオもVictorだった。私はよほどVictorが好きなのだ。

携帯でも、メールと電話さえ出来ればいいし、パソコンもほんの一部の機能しか使っていないけど、なんとか仕事は出来る。i-pod?よく知らないけれど、外に出た時に音楽を聴きたいとは思わないし、わずかに好きな曲だけ聴けばいいし、ヘッドホーンも苦手。合間にお茶を飲みながら部屋で聴くのが一番。そんな人間は世間からどんどん置いていかれる。ところが、余分なものを削いで削いで、これ以上シンプルなものは無いというほどの製品を見たら、世間に合わせなくったっていいんだと思って妙に勇気がわいた。

それで、やっとそのWOOD CONEが、やってきた。デオデオの方と一緒にCDを聴いてみた。うわ〜!!いい音よね?うん、これはいい音だ!としばらく聞き入る。カタログで見て想像していたのより、かなり小さなオーディオだったけれど、何だか懐かしく、深い音。昔、ステレオは大きくもあり、高価でもあった。高校生の時、父にねだってねだってやっと買ってもらい、みんなで聞いた時の感動と似ている。今はもう使えないのに思い出のステレオはアトリエの二階にまだとってある。親に甘えられた時代。あの頃の自分が羨ましいな(笑)。

WOOD CONEは適度な音量にしていても振動が体に伝わって来るし、低音、しびれます。こうでなくっちゃ!凝る人はきっともっと上を上をと欲しくなるのよね。私はこれで充分♪ 一日中、嬉しかった。