庭先で猫がうちの庭を縄張りにしている。私が通っても「フン!ここにいて何が悪いのさ」とばかりに堂々と寝そべっている。まあ、しょうがないねえ〜と言いながら池を見ると、秋になって色が深くなったのか睡蓮がそれはそれは綺麗に咲いていた。見上げれば時期外れのネムの花が咲いているし、ベンチには母が穫ってきた栗が籠に入っていて、そばには山椒の可愛らしい実!夏と秋が混在しているようで不思議な感じがした。 

汗をかくほど暑いと思えば急に冷え込んできたり、な〜んとなく集中出来ない夜中に、送ってもらった展覧会や映画、ミュージカルのパンフに目を通した。

ひとつはグランマモーゼスの展覧会。絵の技術ではなくて、天衣無縫、自由、素朴な絵で人の心をつかんだ女流画家。百歳越えるまで楽しく描き続けたグランマモーゼス。「君は日本のグランマモーゼスになれ」(子供の気持ちで描き続けるという意味)といつも口癖のように言われる有賀先生からの手紙にその展覧会の案内が入れてあった。見に行けば?という事ではなくて、私への先生らしい励ましの意味だと受け止めている。

もう一つは「赤い風船」「白い馬」という映画のパンフレット。この映画が作られたのは1956年というから、私は生まれたばかり?カンヌ国際映画祭バルムドールを受賞。語り継がれる伝説の映画が2007年のカンヌ映画祭に再出品され、2008年に再び上演されるという奇跡を起こしたのだそうだ。「赤い風船」は画家の岩崎ちひろさんが熱望して絵本になっているとか。恥ずかしいけれど、全く知らなかった。

☆少年パスカルは街灯にひかかっている赤い風船を見つける。街灯によじ上って風船を手に取る。車掌に風船を持ったままではバスに乗ってはいけないと言われパスカルは仕方なく学校へ走っていく。放課後、雨が降り出すと風船を傘にいれ大切に家に持ち帰るけれど、家から放り投げられてしまう。不思議な事に風船はフワフワとパスカルの部屋の外に留っていた。風船はもうパスカルの友達になっていて、彼の行く先々に付いてくるようになった。ある日、パスカルと風船の仲のよさを妬んだいたずらっ子たちが風船に石を投げた。「逃げろ」とパスカルが風船を手から離して言っても風船はその場を離れようとしない。不思議なことが起こった。町中の色とりどりの風船がパスカルのもとに集まってきた。そして風船たちはパスカルを空高く高く連れて行ってしまうのだった☆

そんな物語だ。美しい映像が思い浮かぶ。かの岩崎ちひろさんがどうしても絵本にしたいと思った気持がわかる気がした。
ああ、生涯で一冊でいいからこんな珠玉の童話を作れたらどんなに素晴らしいだろう。興味を持った私にせめてパンフだけでもと、ハワイの童話集のプロデュースをして下さっている古屋さんが送って下さった。

もう一つは愛華ちゃんという少女が書き残した地球環境をテーマにしたマンガが『愛と地球と競売人』という市民ミュージカルになったそのDVDだ。以前川本で見たけれど、あれから数年経ち、東京の青山劇場で公演するまでになった。思わず涙が出るほど素晴らしかった。県庁の方から頂いたものだ。どれもこれも素晴らしく、秋の少しひんやりしたアトリエで静かで、少し胸が苦しい時間を過ごした。

なかなか時間がとれず、ひらりと東京へ行くわけにいかないけれど、こうした情報を知るというのは大切な事だ。送って下さるという厚意に感謝の気持が湧くのと同時に、「もっと努力しなくちゃダメだ、私は」と自分を奮い立たせるきっかけにもなる。

本当に冗談じゃなく時間がない。仕事しなくちゃ。
早朝にひとりぼっちの青い睡蓮が咲いているのを見た。
なんだか「元気出してがんばれ〜』と言われた気分だった。