昨夜、九十歳の絵本作家ターシャ・テューダーのたくさんの花や木々に囲まれた生活をハイビジョン放送で見た。
 ターシャ・テューダーといえば、長い間、カレンダーの仕事でお世話になったデザイナーの女性が、ターシャの個展を見て、『何だかめぐみさんを思い出したのよ』と言ってその画集を送って下さったし、師の有賀先生が『佐々木君の大好きなグランマモーゼスより、もっと凄いおばあちゃんがいるよ』と教えて下さっていたので、まあまあ知っていた。
 『お母さん、ターシャ・テューダーの番組があるから見ようね』と母を誘った。野菜作り、花作りが大好きで、めぐみのアトリエの周りを素敵にするんだ、と言ってはりきっている母だから、参考になろうというものだ。
 さて、いよいよ番組が始まり、かじり付きで見たけれど、ナント三十万坪の土地に(それは東京ドームの三倍だと言うではないの)まばゆいばかりの素敵な花々が咲き乱れ、クラブアップルの実とか林檎とか、果実の樹木が山ほどあって、収穫したものは全て手作りのジャムや保存食となってアーリーアメリカン風の棚にズラリと並んでいる。
 母が、『まぁ、ろうそくまで手作り…』とため息。私は、『ここまで忙しいのに百冊もの絵本を出版するなんて、魔法を使ってない?』『だいたい、ターシャの生き方を見て私を思い出してもらっても困るわ』『共通点と言えば、私が田舎に暮らしているということだけみたい』などと言いながら、最後は母も私も、ターシャが素晴らしすぎて無言となった。
 『お母さん、私のアトリエだって周りに睡蓮池があるし、可愛い花がいっぱい咲いているし、じゅうぶん素敵よ』となぐさめた。すると、『めぐみ、聞いて!お母さんはまだ八十歳。これから花や実のなる木をいっぱい植えることにした』と母。
 しめしめ、予想通り、うまくいった。
 私はひとかけらも彼女の真似は出来ないけれど、ターシャのように、想像する心だけは失わないようにしたいなあと思った。
 そして、素直にありのままに。
 

★ターシャ・テューダーの絵本について詳しくお知りになりたい方は、
 ◎有賀忍ホームページ『絵本的生活』をご覧下さい。
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