毎日、憂鬱になるニュースばかり。人間の心を失った事件の数々。そんな中、NHKスペシャルで「米軍カメラマンが見たNAGASAKI」という番組を放送しようとしていた。タイトルを聞いただけでチャンネルを変えてしまった。もうこれ以上暗いものは見たくないと思い…。

ところが深夜に一枚の写真が目に飛び込んできた。見なかったNHKスペシャルの再放送での写真。それを見たとたんに私は胸がえぐられたようで号泣してしまった。その写真が脳裏に焼き付いて離れない。

アメリカ人のカメラマン、ジョー・オダネルは原爆投下後の長崎に入り、その様子を記録するために長崎に入った。軍に隠れて、彼は個人的に30枚の写真を撮った。でも彼にとってその時の光景の記憶が辛すぎて、43年間その写真を封印して一度もその写真を見る事はなかったと言う。でも、彼は43年めに封印を解き、原爆の悲劇を繰り返さないよう、写真を公表し、母国アメリカの告発に踏み切った。

少年が死んだ弟を背負い、火葬場で順番を待っている。直立不動。背筋がピッと伸びている。その背中で死んだ弟がだらんとして背負われている。弟の可愛らしさがよけいに悲しい。親も死んでしまったのだろう。死んだ弟を背負ったその少年の唇は真一文字に結ばれ、歯を食いしばった唇の端から血がにじんでいるようにみえた。
「焼き場に立つ少年」と言うタイトルがつけられた写真だ。
こんなに悲しい写真。原爆はいけない。どんな理由があろうとも原爆はいけないというメッセージを、この1枚の写真が、何百枚もの焼けただれた肌の写真よりも訴えかけるだろうと思った。

そして母国アメリカを敵に回しても自分の良心と命がけで向き合った人がいたという事。覚えておこうと、おかなければと思った。

秋の気配。深夜はけっこう寒くてカーディガンを羽織っての仕事。絵を描きながら、ふと私の絵は何かの役に立っているのだろうかと考える。考えこんでしまう。
でも、いいさ。私にも「伝える力」少しはあるはずだと信じよう。

笑っている人、泣いている人、怒っている人。ひとりとして同じ人はいない。
動物も同じ。みんな違う。それぞれの違いを、個性を、夢をいっぱい描いていこう。それが私のささやかなメッセージ。みんな地球の大切な仲間だもんね!

50号の絵はやっと色づけの段階に入った。
仕事がなかなか進まなくて焦るけれど、遅くても3ヶ月後には白寿苑で見て頂けると思う。笑顔をいっぱい想像しながら仕事に戻ることにしよ。これが私の仕事だから。