アトリエの2階に額装された絵がたくさん置いてある。大きい絵もあるからかなりの重さ。でも床が抜ける心配はない。アトリエは以前、納屋だったこともあり運良く鉄骨づくりだから。丈夫なのは良しとして、二階に上がることはめったにない。いくら心臓が強い私でも、しばらく開けていない部屋を開ける時は結構ドキドキしてしまう。カラスの住処になっていたらどうしよ〜なんて思ってしまって。

さて、個展準備のため、久しぶりに二階へ。
そろりドアを開ける。何事もない。よかったぁ〜!
カーテンを開けてふと外を見ると、いつのまにか向こうの畑はコスモスのピンクで埋まっていた。ついこの前、今年はなかなか咲かないなあと案じていたのに。
このアングルから見ると、なかなか素敵!と思いしばらく眺めていた。
裏山に実った栗が手が届きそうなほど近くに見えた。母は栗の渋皮煮作りで今大忙しだ。空を見上げれば、♪トンビがくるりと輪をかいた〜♪とばかり、トンビが本当にくるくると空を舞っていた。
秋だねえ〜…。オットット、こうしちゃいられないと急ぎ絵を持って降りた。

2日は朝から今井美術館で展示作業をした。
日通の美術班の方々がプロらしい手さばきで次から次に展示していく。
緊張感が段々増して来た。
スッキリと、でも楽しい雰囲気の展示が出来たと思う。
月森さんが『めぐセンセー、いつアトリエに行っても絵が途中のまんまで全く進んでいなかったのに、ちゃんと頑張っていたんだね〜!』と言って私をからかった。蚊が飛んでいたので殺したら、館長の今井さんが『めぐみさんに殺される蚊がいたとは!』とまたからかう。スローでもやる時はやるのが佐々木恵未でございますよ〜。へへへ。
とにかくこんな調子で展覧会が楽しく始まりそうだ。

思えば、5年前、今井美術館での童画展には父が来てくれたのだった。車いすで母と一緒に来てくれた。父はあの頃既に言葉が出づらくなっていたけれど、車いすから立ち上がり、館長さんに一礼をして、はっきりとした言葉で『この度は娘がお世話になります』と言ってくれた。会場を一巡した父に『どうだった?』と聞くと『いいに決まっとるよ』と困ったような照れたような顔で答えた。その数日後、祖母が亡くなったショックで高熱を出し、入退院を繰り返すようになった父。考えればあの日父が絵を見てくれたのは奇跡だったのかもしれない。

あれから5年…。
ふいに『おい、頑張ってるじゃないか』と父から言われたいなと思い、久しぶりに感傷的になってしまった。
まあ、いいさ。必ず見ていてくれるに決まっている。
私がまたドジをしないように見守っていてね、父上様〜。