ああ、やっと終わった!ずいぶん締め切りがきつい仕事をさっき終えたばかり。
目の疲れが今朝は凄まじく、アトリエに差し込む朝日が目にしみた。日ざしに誘われて外に出て見ると、母がまた飾ってくれたのだろう、なんだか見た事もない植物が!「お母さん、何、これ?」と早朝から庭に出ていた母にたずねると、「となりの蓼やさんからもらったんよ」と。綿の実ということだった。へ〜、綿の実なんて初めて見たわ。珍しいね、と言いながらまじまじと眺める。綿は生活の身近にあるというのに、綿の実がこんな形をしているなんて知らなかった。遠くに目をやると、ああ、絶景かな〜。朝日にコスモスが揺れてきれいきれい!そして久しぶりにテツのところへ行くと、テツのハナミズキが小さいながらもちゃんと紅葉していて可愛らしかった。そして、カラス軍団に食べられているとは言え、我が家の柿も豊作だ。秋は心情としては苦手だけれど、秋の色は大好き!

眠気がちっとも来ないので、一曲聴いてから母屋に戻ろうと思い、河村隆一のCDを手に取った。最近お気に入りのCD。
(音楽の事を話しだすと長くなるかもしれない。)
絵に集中するためにも、私にとって音楽は欠かせない。普段はボーカルがあるものよりも、楽器の音を聴くのが好きで、中でもアコースティックギターの音が一番好きなので、押尾コータローはずいぶん聴いた。

7月に、河村隆一のコンサートに今井館長さんと一緒に出かけたという話は前のブログに少し書いたけれど、今回はその後日談。

コンサートの数日後に、偶然にも河村隆一の武道館でのコンサートをダイジェストに編集したものをBSで放送しているのを目にした。江津のコンサートでも、「最近武道館で70曲歌いました」と話していたけれど、そのコンサートの収録のようだった。70曲目。その最後の最後に、心をこめてあれだけの声量で歌えるってありえるのかな?と思って驚いた。一曲一曲が熱唱だというのに。

好きだなあと思った曲が2つあった。でもタイトルを見逃した。頭の中でその曲をイメージしながらレコード店に行った。「あの、河村隆一の〜」と言いかけたところで「ああ、先日の河村隆一のコンサート、すごく良かったんだそうですね」と女性の店員さん。「感激した」と言いながらCDを買われたお客さんが多かったそうだ。「そうなんよ。それで好きな曲があって〜」と曲の内容を説明したけれど、判りませんと言われた。そこで私は勇気をふりしぼって、こんなメロディーだったんよと、そっとメロディーを歌ってみた。でも、彼女は首をかしげた。あきらめるしかないかな、と思った時に、店員さんが検索で調べて下さるというのだった。
「これじゃないですか?」と言ってヘッドホンを貸して下さる。「ううん、こんなメロディーじゃなかった」「じゃあこれは?」「ちがうわ」
どれくらい時間が経っただろう。
「あっ、これ!これよこれ」

私が探していた曲は「LOVE IS」という曲と「ONCE AGAIN」と言う曲だとわかった。「よかったですねえ、わかって」と彼女。なんて優しい人だろう。すごく迷惑をかけてしまったというのに。
そこで、「この2曲が収録されているアルバムが欲しいのだけど」と言うと、「3枚組で6000円するCDでないとその2曲が入ってないんですよぉ」と女性は申し訳なさそうに言った。あんなに一所懸命に探してくれた彼女に対してどうしてそれなら要らないですと言えましょうか。というわけで、私は思い切って3枚組を買って帰った。
(Evergreen anniversary edition)

それを最初に聴いた時、コンサートでの生の歌声よりも河村隆一色が強すぎて少しためらった。
ところが2度目3度めと聞いていくうちに、知らず知らず心地よく心に響いてくる。不思議な魅力があった。聴く度に新たな新鮮さで心に届いてくる。それからしばらくして今度は三枚目のDVDを見てみた。すごく驚いた!
それには昔のコンサートも収録されていた。最近の歌い方は昔とは全く違う。歌唱法というより、発声法を変えている。ソロの男性歌手部門で売り上げ歴代1位の記録を作った人が発声法を変える?
昔の声は金管楽器的。最近は木管楽器的。それほどの違いがあることに気づいた。

きっと、「変える」には人知れず大変な勇気と鍛錬を要しただろうと思った。
私自身の仕事を考えたって、自分の表現、自分のスタイルを守るという意識はそう簡単に消せるものではないから。河村隆一は自分のスタイル、個性を失わず、この数年の間に大きく変化しているのだから、素直にすごいな〜と思った。

もう一度コンサートを聴きに行きたい。迷わず、脇目をふらず、コンサート中心にずっと歌い続けていてほしいな、と河村隆一を聞く度にそう思ってしまう。

ずっと昔、「君の絵は絶対にミーハーではないのに、君自身はミーハーなんだよね。不思議だなあ〜」と言われたことがある。へへへ。ミーハーでもいいや。私は河村隆一の表現が好き。ささやかに応援メッセージでした。