初雪。
今までに例のない暖冬と騒がれているだけに、やっと降ってくれたかと少しホッとした気持ちだったけれど、母と山を越えて買い物に行っていたので、帰りはスリル満点だった。母をスーパーに残して私は浜田市まで行っていたけれど、その時は眩しいほどのおひさまが出ていた。母を迎えに寄る時、対向車の屋根に雪が積もっていたのでおかしいなぁと思った。スーパーに着くと駐車場に止めてある車全部の屋根に雪が積もっていた。あれっ?と思ってよく見れば道路も白くなっているではないの!『早く早く!早く帰らなくちゃ』と大急ぎで買い物袋を車に積み込んだ。水気をいっぱい含んだ雪だから大丈夫よと言いながら運転してみるものの、結構滑る。あの日の悪夢がよみがえった。

何年前の事だったろう。今日のように買い物を済ませ、助手席に乗っていたテツに『おまたせ〜』と言って車に乗り込んだ。山道に入ったとたんにかつて見た事もない大量の雪が降ってきた。あれよあれよという間に雪が積もり、車が滑りまくる。自分の心臓の音が耳元で大きく聞こえた。
下りの山道だ。対向車の1台も来ればもうアウトだった。いつもなら車に乗っている間中、私の顔を見て笑っているテツもさすがに危険を感じたらしく、息を殺してまっすぐに前を見たままだった。幸運にも対向車はなく、家まで10分の道のりを1時間かけて帰ったけれど、母は心配の余り血圧が上がっていたし、私はその時の恐怖で、一旦解約していた携帯電話をやはり持つ事にしたのだった。そんなわけで、今日の雪の怖かった事といったら!

家に着くと、『まぁ、庭がきれいだねぇ』と母が呑気に言った。
確かに、祖父の代からあるサザンカに雪がちょこんと乗っているその姿は本当に美しかった。

『よし!これで当分買い物しなくてもいいし、いくら雪が降っても大丈夫よ』と母が冷蔵庫に食品を片付けている間に私は庭の写真を撮った。

『まあね、めぐみと一緒じゃなくて私一人で買い物をしていると店員さんの親切な事!重たいものを持たせないように、みんな運んで下さるんよ。80歳過ぎて買い物をさせられて、可愛そうだと思うんだろうねぇ』と母がのたまった。

今夜のメニューは、タマネギたっぷりのシチューと、大根とこんにゃくの煮しめにサラダ。『今夜も美味しかったわ、お母さん。何といっても母親の手料理が一番よね』と言うと母は嬉しそうだった。

昨日、仏事で来られたご院家さんから、『めぐさん、お母さんと上手にやってるねぇ』と誉められた?ばかりであります。頼りにしてますよ〜が、一番の親孝行。『自分に都合のいい事ばっかり言ってからに』とまた怒られた。

せっかくの初雪はもう解けてしまっている。思えば母と2人きりになってから初めて見る雪という意味でも初雪だった。