久しぶりの東京だった。
仕事で5日から9日まで東京で過ごした。
ちょうど、恩師の有賀忍先生が出品していらっしゃる現代童画展が開催されていたので真っ先に東京都美術館に向かった。これは何年ぶりだろうと考えた。

私が所沢を引き上げて江津に帰ったのが1998年。それ以降東京には何度も行っているけれど、都美術館には行かなかった。となると9年ぶりということになる。懐かしいというよりはむしろ緊張した気持だった。

うわ〜!素敵!1階のフロアで見慣れたアリガブルー(先生の青の色使いを私は勝手にこう呼んでいる)が目に飛び込んで来た。優しい色使い、そしてもちろん触ったことは無いけれど、もしも触ればちょうど人肌くらいのぬくもりが手のひらに伝わってきそうな質感も変らない。そして独特な心象風景。絵はもちろん原画に勝るものは無いけれど、板を彫りそこに彩色してある先生の絵は肉眼で見ないと分かりっこないと改めて思う。

ちょうどセルビアからのナイーブアートも招待で展示してあった。これもまた素晴らしく、生活そのものが素直に描かれていて楽しかった。中でもヤン・グロージックという作家の絵は圧巻だった。私の絵の細かさなんて問題ではなく190人もの人々が登場し、その人達が全員ヤン・グロージックの知人や尊敬する人達だというから驚きだ。いつもの生活をありのままに描いているというわけ。
デサ・ペトロフ・モラルという作家の『豚の解体』という絵には驚いた。豚を解体している絵なんだから。それが凄く自然で、やだ〜と言う感じでは決して無い。のどかだけど生きるための力強さもある。

そこに有賀先生が現れて、挨拶もそこそこに絵の話ををいっぱい聞いた。有賀先生のアートへの熱く純粋な思いは出会って30年も経つのにちっとも変わっていない。『佐々木君、いい絵を描いて生きていけよ』先生のいつもの励ましを背に、とぼとぼと都美術館をあとにした。がっくり来るのだ。自分の小ささを思い知って。いえ、展覧会を見に行くのは実はそれを知るために足を運ぶのだけれど。人の作品をじっと見るということは同時に自分の作品を見つめるということでもあると思うから。

7日は日本橋島根館へ。江津市出身のUさんの紹介で館長さん、店長さんとお会いし、カレンダーや童画集の販売をしてもらえることになった。ヤッター!嬉しい!大きな課題をひとつクリアした気分で島根館を後にした。

夕方は横浜へ向かう。今度ハワイの童話集をプロデュースして下さるFさんとの打ち合わせのためだ。仕事の話となると止まらなくて時間が足らなかった。このことはいつか必ず童話集完成のおりに詳しく報告したいと思う。(あ、いけない。ご本人の許可が出たらのお話でした。)

ともかくも、私は東京で1年分歩いた気がする。靴の底が凄い減りようで、中身の足はバンドエイドだらけ。でも爽快な痛みに感じた。真剣にこれからキタエヨッカナ〜?